花粉症の注射 ステロイドで免疫を抑えるのは副作用が危険

花粉症の時期になると憂鬱でめんどくさいですよね、あれこれ対策が。

そんな中、注射一発ですべての症状が抑えられるという話があります。

3~4週間に1回打てば花粉症の症状が抑えられるというステロイド注射、メカニズムと問題点について

 

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花粉症の注射のステロイド剤がどうやって症状を抑えているのか?

 

花粉症の諸症状、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどですが、これは空気中をただよう花粉が目に入ったり、鼻から吸い込まれた際に、あなたの体の免疫系が「寄生虫が入ってきた!」と思ってそれを排除する行動に出ることが原因です。

涙を流す、くしゃみをする、痒みを感じで手で掻く

こういう行動を起こすことで、侵入してきた寄生虫を体から排除しようという反応です。

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これらの反応を順番に見ていくとこうなります。

 

1.繰り返し花粉にさらされたあなたの体のリンパ球が「花粉に対する抗体(IgE)」を作り、

2.そのIgEに花粉の成分が付くとそのIgEを細胞表面に結合している肥満細胞が活性化されて、

3.肥満細胞などからくしゃみや涙や痒みの元となる刺激物質(ヒスタミンなど)が放出される。

4.ヒスタミン受容体などが刺激されて痒みがおこったり鼻水が出たり涙が出る。

 

アレグラなどの抗ヒスタミン剤は最後の第4段階の、ヒスタミン受容体が刺激を受けないようにするお薬です。

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それに対して、ステロイド注射は第1段階、リンパ球が抗体を作るところから抑え込みます。

さらに、デポー剤と言って、ステロイドを油成分などと混ぜて、それが徐々に溶けだしていくようにする注射方法があります。

これにより、免疫反応を3~4週間にわたって根本的に抑え込むことができるわけではあります。

 

ですが、リンパ球が様々な外敵に対して抗体を作るのは免疫の大事な役目です。

ステロイド剤を注射すると、全身の免疫機能が抑制されます。

花粉に対する反応だけでなく、その他もろもろの外敵に対する免疫反応が弱くなります。

 

 

花粉症のステロイド剤注射の副作用で風邪をひく?下痢しやすくなる?

 

理論上、ステロイド注射で免疫を抑制すると、免疫が抑制され過ぎて、細菌やウイルス感染に弱くなる可能性があります。

3~4週間にわたってステロイドの作用を全身にいきわたらせるのですから、鼻だけでなく、腸や肺などの大事な免疫系も抑えこまれてしまいます。

 

ただ、免疫機能はある程度抑制されますが、免疫力には個人差があります。

花粉症のシーズンだけのステロイド注射では全然大丈夫だよ?という人も多いのかもしれません。

 

私の友人の開業医も、花粉症の時期になると自らステロイド剤のデポー注射を打っていました。

その先生いわく、

「花粉症の症状が出ると診療がなんもできんけん、患者さんに迷惑ばかけんごつしよっとたい。調子よかばい。」

ということで、毎年、花粉症の時期の始まり頃とその4週間後ぐらいに打っていました。

で、症状は抑え込めていました、見事に。

 

でも、6~7シーズン続けてやめました。

理由は、ステロイド注射を打つようになって数年後から、きつい風邪を引きやすくなってきたこと、下痢が多くなったことに、本人が危惧を覚えたことによります。

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それがステロイド注射の副作用のせいだったのか、50代の彼の免疫機能が加齢により落ち始めたせいなのか?

きちんと調べたわけではないので結論は出ていません。

ですが、彼の症例で言えば、ステロイド注射をやめて一年後くらいから、それらの問題はなくなったそうです(花粉症の症状は抗ヒスタミン剤の内服で抑えています)。

 

理論上、花粉症の反応を抑える以外の過剰な免疫抑制で、感染症にかかりやすくなったりする可能性があります。

そのことには注意が必要です。

 

 

花粉症のステロイド注射で自分の体の内分泌機能が抑制される可能性について

 

ステロイド剤を連用する、あるいはデポー剤を頻繁に注射することにはもう一つの怖い副作用があります。

それは、あなたの体が自らステロイドを作る能力を失うという可能性です。

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誤解している人が多いかもしれませんが、一般に言うステロイドというのはもともと、私たちの体の中の副腎という臓器が作っている内分泌因子のコルチゾールのことです。

コルチゾールは副腎の皮質と呼ばれる部分で作っている内分泌物質で、副腎皮質ホルモンとも呼ばれます。

このステロイド(副腎皮質ホルモン)が強力な作用を持つのに気付いた人類が、それ(あるいはそれと似た作用の成分)を様々な病気の治療に応用するようになったのが現代社会というわけです。

 

では、このコルチゾールは何をしているかというと、大きな怪我をしたり、ストレスにさらされると大量に分泌されて

1.糖新生を活発にして血糖値を上げる

2.血圧を上昇させる

この二つの作用をもたらします。

これにより、怪我で低下した体の機能を上げ、ストレスの元に立ち向かう、あるいはそれから逃走する準備をする(血糖値と血圧が上がれば動けますから)わけです。

 

外敵に襲われるなどの緊急時に逃走(あるいは闘争)するときにそのパワーを得ること

がステロイドホルモンの存在する重要な目的のひとつであるとも言えます。

 

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このホルモンは、しかし、日常的にも使われています。

微量のコルチゾールが作用することにより、糖質代謝や脂質代謝、血圧コントロールなどが精緻に制御されているのです。

 

これの濃度が下がる「副腎皮質機能低下症」では、様々な問題が起こります。

たとえば慢性副腎皮質機能低下症であるアジソン病では血糖値が上がりませんし、代謝がうまくいかないので、筋力が落ちるし、やせるし、いつも疲れている、下痢しやすい、易疲労感、など、虚弱な老人のような状態になります。

 

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ステロイド剤の注射を繰り返していると、あなたの体は

「あ、ステロイドは十分に足りている、副腎皮質にこれ以上作らせないように指示しとかなきゃ。」

というので、副腎皮質でのステロイド(コルチゾール)産生をやめてしまいます。

 

それを長く繰り返していると、あなたの体の副腎皮質は休憩しっぱなしです。

使われない器官の機能は次第に落ちていきます。

微量の分泌のオンオフで体の糖質代謝を制御するという、精緻なコントロールをやがて失う可能性があります。

 

これは怖いことです。

 

 

 

花粉症治療のステロイド注射での免疫抑制を回避するにはどうしたらいいか?

 

糖質代謝や血圧制御という二つの作用にステロイドが重要な働きをすることを前の章で述べました。

 

このステロイド(副腎皮質ホルモン)のもう一つの作用が

3.免疫反応の抑制です。

これを様々な病気の治療に用いているというわけですね。

 

血糖値や血圧を上げる緊急時の危険回避のためのホルモンが、どうして免疫反応を抑制してしまうのでしょうか?

 

免疫反応というのは、身体に入って来る異物(有害物質、ウイルス、細菌、寄生虫)を排除するための反応です。

これにより、くしゃみ、鼻水、痒くなるなどのアレルギー反応も起これば、熱が出るなどの炎症反応も起こります。

 

でも、これらの反応は、猛獣に追われているような緊急避難時に発生するとあまりありがたくない症状ですよね?

たとえば、走ることができれば安全な洞穴に入れるのに、傷が元で高熱が出て動けなくなったら。

たとえば、物陰に隠れてやり過ごそうとしているときにアレルギー反応でくしゃみが出たら。

敵に襲われて一巻の終わりです

 

危険から逃走、あるいは闘争するときにはこれらの免疫反応に伴う症状は抑え込まれておくべきなのです。

おそらくそれが、ステロイドホルモンが免疫を抑制する目的の一つだと思われます。

 

ということで、ステロイド剤はありとあらゆる免疫反応を抑え込むポテンシャルのあるホルモンです。

花粉症の症状だけ抑える薬にはなりません。

 

ステロイド注射をする以上は、免疫抑制による副作用は発生しうることを念頭に置いてください。

副作用を回避するためには、注射しないことです。

使ってしまったら、風邪や細菌感染に注意して慎重に健康的に生活する、それしかないですね。

 

私だったら、ステロイドデポー剤の注射はしません。

 

 

余談

その後、花粉症の開業医の彼は毎日アレグラを服用する生活に変えて、それでなんとかなってると言ってました。

(アレグラのように、眠くならない抗ヒスタミン剤が出てきたのもステロイド注射をやめる理由の一つだったのかもしれませんね。)

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