日本のエボラ治療薬アビガンはタミフル並みに治療に有効です!

エボラ熱の治療に関して、待っていたすごく嬉しいニュースです。

日本の富山化学工業が開発して富士フィルムが商品化につなげたウイルス増幅阻害剤ファビピラビル(商品名アビガン)が、ウイルス量が中程度の患者の死亡率を半減させたと。

これはインフルエンザに対するタミフルと匹敵する効果だと言えます。

 

・・・ただし、パンツまでびしょ濡れだともう乾かせません(詳細は記事で)。

 

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エボラウイルス感染症の初期から中期であれば効果が期待できる

 

西アフリカでのエボラウイルスの爆発的な感染拡大は次第に収束に向かいつつあります。

地元の医療関係者、WHOや国境なき医師団の決死の協力の元に、よかったです。

 

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そんな中で、日本の製薬メーカーが開発したRNA増幅阻害剤の臨床試験の効果の速報が報道されました。

ウイルス量が中程度の患者に投与した結果、投与していない患者の死亡率30%が死亡率15%にまで低下したというのです。

 

これ、すばらしいことですよ。

 

今回のエボラアウトブレイクでの感染者の追跡から、エボラウイルスに感染しても、初期に安静と輸液などの手厚い保護を受けられれば、これまで思われていたよりも死亡率が低いことは次第に明らかになりつつあります。

(50~90%といわれていたのが30~40%程度に)

そこにアビガンを組み合わせれば死亡率がさらに半減するというのはなんとも素晴らしいことなんです。

 

富山化学工業さん、フジフィルムさん、おめでとう、そしてありがとう。

 

ただ、この素晴らしい効果の日本での報道のされ方、なんかちょっとだけ、引っかかります。

*****ニュースの引用***

エボラ薬アビガン、一部患者で死亡率半減-小児や重篤患者には「効果見られない」

医療介護CBニュース 2月24日(火)18時41分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150224-00000002-cbn-soci

エボラ出血熱の実験的治療薬「アビガン」(一般名ファビピラビル)の臨床試験の初期成績について、国境なき医師団は24日、血中のウイルス量の少ない患者の死亡率が半減したことを明らかにした。ただ、ウイルス量が多く重篤な患者には、効能が見られないことを示唆する初期成績を得たという。【新井哉】

国境なき医師団によると、昨年12月からギニア国内のエボラ治療センターでアビガンの臨床試験を開始。臨床試験を主導しているフランス国立保健医学研究所(INSERM)は、血中のウイルス値が比較的低い患者の死亡率が30%から15%に半減し、「効果が期待できる」とする一方、血中のウイルス値が高い患者と小児については、「効果が見られない」としている。

***引用ここまで*****

 

効果があったということよりも、効果がない人がいるということの方が目立つ見出しに見えてしまいます。

事実の一部の表記ではあるのですが、読む人によってはがっかりしてしまう見出しになってる気がします。

 

 

 

エボラウイルス量が多い患者さんはパンツまでびしょ濡れってことです

 

今回の、アビガンがウイルス量の多い患者に効果がないという話ですが。

よく似た話を皆さん知っていますよ。

「タミフルは症状発現後48時間以内に服用しないと効果がない。」

というのと同じことです。

 

インフルエンザ薬のタミフルについて以前にこのブログでも書きましたが、タミフルは症状が発現して48時間以内に飲まないと効果は期待できません。

それは、タミフルは「病気を治す薬」ではなくて、「ウイルスの細胞外放出を抑える薬」だからです。

体内でのウイルス増幅は症状が出て48時間ぐらいがピークで、そこからは自然に減っていきますから、その前に飲まないと意味がない。

 

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たとえ話にすれば、

雨の降り始めからピークまでの間に傘を差せばパンツまで濡れるのを防げるかもしれません。

でも、雨のピークを過ぎて、パンツまでびしょ濡れになった状態で傘をさしても、

 

濡れちゃったパンツはもう乾かない

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ということなのです。

 

それと全く同じことが今回のアビガンの例でも言えます。

エボラウイルスの血中量が多い患者さんでは、すでにエボラウイルスが体の中でピークまで増えてしまっているのです。

 

アビガンは、エボラウイルスの増幅そのものを抑えます。

ですが、すでに体内を泳ぎ回っている完成したウイルスに効果があるわけではありません。

 

言い換えれば、そういう患者さんはパンツまでもうびしょ濡れなんです。

 

パンツがまだ濡れてない患者さんに投与すれば、

傘となってパンツまで濡れるのを防げることがあり、風邪をひかずに(死なずに)助かる可能性がある。

 

でも、パンツまで濡れちゃった患者さんでは、傘をさしても、それを乾かす力はありません。

患者さんが自らの体温(生命力)でパンツを乾かすしかないのです。

 

だからアビガンの効果はウイルスの増えた患者さんでは期待できません。

タミフルと同じで、早めに投与しないと効かないのです。

 

 

 

フジフィルムのエボラ治療薬アビガンは子供に効果がないのはなぜか?

 

ウイルスの血中量が高い大人には効かないのはわかったとして、どうして小児(子供)には効果がないのでしょうか?

こちらの理由は、おそらく子供と大人の免疫系の違いの問題ではないかと思われます。

(以下は私個人の推測です。)

 

エボラウイルスが好んで感染する細胞は樹状細胞などと呼ばれる白血球の一種です。

これは全身に分布していて、特に、皮膚、呼吸器、消化管、性器などの外界と接する部分に多く見られます。

これは外界の異物を認識して、これらに対する免疫を獲得するために重要な細胞です。

(詳しい説明は別記事で ⇒ 皮膚バリアが壊れているとエボラにかかりやすい )

 

子どもって、大人になるまでにいろんな病気にかかりますよね。

特に、はしか、水ぼうそう、風疹、突発性発疹、おたふく風邪などのウイルス感染症には頻繁に感染します。

これらのウイルス感染症を生き延びるか、あるいはワクチンを打っておくことでウイルス感染に二度とかからずに済みます。

 

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大人になる前の小児が頻繁にウイルス感染症にかかって免疫をつける。

 

これ、生きていく上では重要なことなのです。

大人になって初めて麻疹やおたふく風邪にかかると、子どものころとは比べ物にならない激烈な症状が出てしまい、治療しなければ高い確率で死にます。

でも、子どもの時にこれらの感染症にかかって免疫がついていれば感染しても発症しないか、軽い症状で済みます。

 

このことから考えると、、子どものころに全身に分布する樹状細胞は、大人と様子が違っている可能性があります。

大人に比べれば速いスピードで分裂増殖しながら、積極的にウイルスに対する免疫反応を全身で展開している可能性があります。

樹状細胞が活性化している(活きがいい)というわけです。

 

そうすると、一つ一つの樹状細胞で増幅するエボラウイルスの量も大人に比べれば早いと考えられます。

つまり、

子供のエボラ患者はパンツまで濡れるのも早い。

そう考えることができます。

 

それであれば、子どもにアビガンが有効な期間はあったとしても短くて、感染のごくごく初期だけであると考えられます。

 

 

 

エボラ治療薬として日本のメーカーが世界に貢献できたことを喜ぶ

 

アビガンがエボラ感染者の死亡率半減に有効であるというこの報道、ほんとに、うれしい記事でした。

鳥インフルエンザの恐怖が報道され始めた頃に登場したタミフルと同じぐらいにワクワクする話です。

 

もちろん、これはウイルス増幅を抑えるという薬であり、エボラウイルス感染症の治療には他の様々な問題の克服が必要となってきます。

それでも、これはエボラウイルス感染症の制圧に向けて人類が刻んだ大きな一歩です。

 

T-705(アビガン)が発見されたのは偶然に近くても(笑)、

厚生労働省やFDAからはインフルエンザの後発薬としていじめられても(涙)、

そのほかのウイルスへの効能を見出して根気強く製品化と適用拡大にこぎつけたフジフィルムの皆さんに拍手を送りたいです。

 

これからも頑張ってくださいね!

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日本のエボラ治療薬アビガンはタミフル並みに治療に有効です!」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: エボラ治療薬アビガンは早期投与が重要と動物実験で既知でした | 官兵衛の覚え書き

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