エボラ治療薬アビガンは早期投与が重要と動物実験で既知でした

日本で発明された抗ウイルス薬ファビピラビルは、エボラウイルス感染症の治療に使えるのではと期待されていました。

臨床実験で、有効だという結果が出ました。

ところが、「感染者の一部では有効だけど、全員に有効ではなかった。」というなんだか残念な報道のされ方でした。

 

でも、これ、動物実験から予測されていた通りの素晴らしい結果なのです。

動物実験では投与タイミングが速いか遅いかで、マウスの運命が劇的に変わることがすでに報告されていたのですから。

 

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アビガン投与は感染後6日目投与と8日目投与で天国と地獄の違う結果

 

エボラ治療薬として期待されていたフジフィルム製の抗ウイルス剤ファビピラビル(商品名アビガン)は、人間に投与される今回の臨床研究の前に、すでにマウスで実験されていました。

 

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この感染実験では、エボラ・ザイール株のエアロゾルをマウスに吸引させて感染させ、

感染後6日目、あるいは8日目にファビピラビル投与を開始するという実験が行われました。

コントロールは感染させて何も投与しないという実験です。

 

結果は以下の通りです。

エボラ感染で無治療 ⇒ 10日目までに 100%死亡

エボラ感染後6日目からファビピラビル投与 ⇒ 100%回復して生存

エボラ感染後8日目からファビピラビル投与 ⇒ 14日目までに 100%死亡

 

6日目までに投与を開始すれば救命できますが、8日目からの投与では救命できませんでした。

このわずか48時間の差で、命が救えるか救えないかが決まってしまうのです。

 

治療しない群が10日以内にすべて死亡したのに対して、8日目からの投与で14日目までは延命できてはいます。

つまり、遅く投与してもウイルスを減らす効果はあったのだと思われます。

 

でも、もう、体がぼろぼろにやられていたのですね。

8日目という遅い時期(治療しなければあと2日以内に全員死亡という時期)からウイルス増幅を抑える薬を投与されても、すでに回復できない状態になっていたのです。

 

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166354214000576#

Antiviral Research

Volume 105, May 2014, Pages 17?21

Short Communication

Successful treatment of advanced Ebola virus infection with T-705 (favipiravir) in a small animal model

 

これ、今回の臨床研究と同じ結果ですよね。

 

ウイルス量が中ぐらいの人の致死率は30%が15%に減らせた。

でも、ウイルス量が多い人には致死率を下げるような効果がなかった。

 

報道はされていませんが、ひょっとしたら、ウイルスが多い人でも延命(死ぬまでの期間延長)効果はあったのかもしれませんね、

8日目で治療開始したマウス同様に。

 

 

 

ウイルス量が中ぐらいの進行した人に効果があるのはファビピラビルだけ

 

報道されていませんが、ファビピラビルの名誉のために書いておきます。

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この薬は、他のエボラ治療薬候補よりもいくつかの点でずっと優れているのです。

 

なぜなら、

ファビピラビル以外のほとんどのエボラ治療薬は、感染後ごく初期に投与しないと効果がない

からです。

 

エボラウイルス感染症がある程度進行した患者の命を救える可能性が示されているのは現時点ではファビピラビルだけなのです。

これは上に紹介したマウス実験の論文の中で紹介されています。

以下に英語を引用し、日本語翻訳も記載します。

 

Drug candidates such as rNAPc2 (Geisbert et al., 2003), estrogen receptor modulators (Johansen et al., 2013), siRNA (Geisbert et al., 2010), interferon (IFN) (Smith et al., 2013), or neutralizing monoclonal antibodies (Olinger et al., 2012 and Qiu et al., 2012) have shown protection when administered shortly after infection. However, none of them had a therapeutic benefit beyond the time window of 2 days post infection.

治療薬候補であるrNAPc2、エストロゲン受容体修飾剤、siRNA、インターフェロン、モノクローナル抗体などは感染後2日以内というきわめて短い時間に投与されたときのみに有効である。

 

ファビピラビル(アビガン)以外の薬の多くは6日目どころか、3日目からの投与でもマウスの命を救えないのです。

この点から言っても、ファビピラビルという薬がエボラ治療薬として極めて優れた薬であることがわかります。

 

実際に感染が広がっている現場では、感染しても未発症の潜伏期にある人が治療を受けに来る可能性はほとんどありません。

感染初期の微熱が出て悪寒がするときにも、エボラであることを疑って病院に治療を求めに来る一般の人は少ないでしょう。

高熱が出る、下痢になる、発疹が出るなど

ある程度、エボラ感染症ではないかという疑いが出てからの受診になります。

 

既に、マウスで言えば感染後2日目を過ぎた状態である可能性が高いです。

でも、ファビピラビル(アビガン)なら6日目からの投与でも間に合います。

 

エボラ熱がはっきりと診断されてからも効果が期待できる治療薬としては、今のところ、ファビピラビルは世界で唯一なのです。

日本の誇るべき成果ですよ。

 

 

 

日本にエボラ感染症が来たらファビピラビルで感染者の命を救えるのか?

 

エボラウイルスに感染したらどのぐらい危険なのか?

これはもう、今でもめちゃくちゃ危険です。

他の病気に比べれば、死亡率は大変高い病気です。

 

だけど、アメリカで患者さんから感染して発症してしまった看護師や医師たち9人は、全員が助かりましたよね。

早くから入院して、考えられる最高の医療を受けたということが背景にあります。

エボラから回復した人の血清を投与したり、ファビピラビルを投与された人もいたようです。

 

感染初期に、適切な治療を受けられれば、かなりの確率で助かる病気のようです。

「パンツまで濡れたらもう乾かせないけど、そこまで水がしみる前に傘をさせばなんとかなる。」

そういう病気のようです。

 

日本に帰国して発病が疑われたときには、急いで病院に行きましょう。

そして最先端の治療を受けましょう。

エボラ熱はもはや、かなりの確率で生き延びることができる病気です。

 

 

日本などの先進国で発症したら、の話ですけど。

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