エボラ出血熱感染が日本では検査できない?そんな馬鹿な?

アメリカで二人目の国内感染者が出た模様ですね、エボラウイルス感染症(EVD)。

やはり、アフリカから入国して発病した方の看病にあたっていた看護師の女性です。

まだ確定診断ではないということになっていますが、簡易検査で陽性であればほぼ間違いないと思って対処すべきです。

 

エボラ出血熱の感染の検査方法についての覚え書きです。

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日本にはエボラウイルスはまだどこにもない

 

エボラ出血熱はまだ日本に入ってきたことはありません。

また、培養ウイルス株すらも、日本の研究機関にはありません。

なぜでしょうか?

 

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エボラウイルスのようなとても危険な病原体はP4(BSL4)レベルの実験・研究施設以外では扱ってはいけないことになっています。

これは世界的に決めていること(WHOによる)です。

 

日本でも1980年代に、国立感染研究所(武蔵村山市)と理化学研究所(つくば市)にその施設が建設されました。

ですが、建設されただけで、一度も稼働したことがないのです。

その理由は、地元住民の猛烈な反対に合い、稼働できなかったからです。

 

したがって、現在、日本のどこにもエボラ出血熱ウイルスは存在しないのです。

 

これがどのような状況を招くのかといえば、日本では、エボラ出血熱ウイルスの研究ができないということです。

前の記事で述べました、富山化学が作製したファビラビル(商品名アビガン)という抗ウイルス薬は、細胞培養実験や動物実験では

エボラ出血熱ウイルスの増殖を止めるのに効果的であることがわかっています。

 

でも、その確認実験は、海外の研究機関に依頼してやってもらっているのです。

日本にはそれが研究できる施設がない、いや、稼働してないからです。

 

この問題、将来的には何とかしないと、せっかくの日本の科学技術が生かせません。

新薬を作っても海外との共同作業になり、利益の大半は販売力や交渉術に長けた欧米の会社にさらわれてしまうことでしょう。

 

ま、でも、さしあたっては、エボラのパンデミック対策としては関係ない話題です。

 

 

日本でのエボラ感染の確認ができないかのような報道はいかがなものか?

 

Yahoo!ニュースを見ていたら、この問題が毎日新聞の記事として報道されていました。

残念ながら、記事の論調がなんだか複数のことをまぜこぜで述べていてよくわからない印象を受けました。

解説してみます。

 

以下は引用です。

*****

<エボラ出血熱>国内検査に懸念…危険ウイルス扱えず

毎日新聞 10月16日(木)7時30分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141016-00000007-mai-soci

エボラ出血熱への対策が国際的な課題となっているにもかかわらず、日本では感染が疑われる患者が見つかってもウイルスを調べる体制が整っておらず、確実な診断ができないことに懸念が広がっている。危険性が高いウイルスを扱う能力を備えた施設はあるが、制度上、取り扱いが許されていないためだ。厚生労働省の担当者は「現状では感染の疑いの有無までしか調べられない」という。

◇感染判断は困難

国は、ウイルスの危険度を4段階に分類し、危険度の段階に応じて扱える施設を定めている。エボラウイルスは最も危険度が高く、最高レベルの設備を有した施設でなくては扱うことができないことになっている。この制度は、世界保健機関(WHO)がウイルスの危険度「バイオセーフティーレベル」(BSL)から定めた4段階の施設基準に準じている。

厚労省によると、日本では約30年前、最高レベル(BSL4相当)の設備が国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)と理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)に整えられたが、地元住民の同意が得られないなどの理由から、現在も最高レベルでの運用は許可されていない。

このため、仮にエボラ出血熱の可能性がある患者が見つかった場合、感染研村山庁舎で患者の血液や尿、のどから採取した粘膜などを検査するが、ウイルスを取り出したり、培養したりすることは許可されておらず、確実に感染しているとの判断はできない。

日本学術会議のメンバーとして今年3月、BSL4施設の必要性を提言した江崎孝行・岐阜大教授(病原微生物学)は「今は特効薬がなく、効果があるのか分からない薬を患者に投与している。ウイルスを培養できればいきなり人体に投与しなくても薬の効果を研究できる」と施設の重要性を指摘する。

感染研ウイルス第1部の西條政幸部長も、ウイルスの感染能力の有無やウイルスがどこから来たのかを調べるには、ウイルスの培養が必要という。ただ、西條部長は「万一、エボラ出血熱が国内に入ってきても準備態勢は整えてあり、制限はあるが対応はできる」と話す。【藤野基文】

*****
ここまで引用でした。

 

さて、この記事、なんだかいくつかのことが混ぜ込まれているんですよね。

 

まず、記事タイトル

「<エボラ出血熱>国内検査に懸念」

というものですが、これだけ読むと、あたかも日本ではエボラ感染疑いの人が出ても感染したかどうかが判断できないかのような内容に思われてしまいます。

 

でも、そんなことはないんです。

患者さんの組織や血液、排せつ物の中から

1.エボラウイルスを認識する抗体を用いて反応する抗原の有無を調べる。

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2.遺伝子を抽出して、PCRという方法でエボラウイルスの遺伝子の一部を増幅し、そのサイズや遺伝子配列を調べて確認する。

この二つを行うことで、

「感染していると疑われる」

というところまでは判定できます。

そこで、感染扱いで、隔離や治療が始まるのです。

 

これらの方法は、一般的に、ほかのウイルス感染症でも行われている検査方法です。

 

たとえばインフルエンザ感染。

鼻腔に綿棒をがりがり突っ込まれて粘膜を採取されて、診断されるでしょ?

それで陽性反応出たら、

「インフルエンザ感染ですからタミフル出しときますね~。」

と、なりますよね。

 

そういうレベルの検査はエボラウイルスであっても問題なくできるのです。

だから検査、簡易診断ができないわけではありません。

 

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「日本ではエボラにかかったかどうかもわからないのか!?」

と、言う心配は杞憂だということです。

不要な心配をあおる記事見出しはよろしくないんじゃないでしょうか?

 

 

確定診断をすることは重要ではありますが、だからといって・・・

 

毎日新聞の記事で、日本ではできないからと言って問題視されているのは以下の部分です。

 

*****

仮にエボラ出血熱の可能性がある患者が見つかった場合、感染研村山庁舎で患者の血液や尿、のどから採取した粘膜などを検査するが、ウイルスを取り出したり、培養したりすることは許可されておらず、確実に感染しているとの判断はできない。

*****ここまで引用

 

「どうして危険なウイルスを培養する必要があるのか?」

「遺伝子の一部を取り出すだけなら感染能力も持たないからその方が安全じゃないか。」

そう思われますよね。

ごもっともです。

 

ですが、それだけでは、「絶対にそれがエボラだ」と確定しないのです。

たまたま、エボラウイルスの遺伝子配列の一部と同じ遺伝子配列を持つ別のウイルスなどがその組織の中に紛れ込んでいて、それが増幅されただけかもしれないといわれたら否定できないわけです。

抽出した遺伝子の一部の遺伝子配列がエボラウイルスと合致しても、それが本当にその患者さんの病気の原因なのかどうかは、ウイルスがちゃんと培養細胞で増幅するかどうかを確認してみないと確認はできないわけです。

 

だから、その患者さんがエボラ出血熱感染症であると断定するためには、患者さんの体液などから取り出したウイルスを培養して初めて、確信できるわけです。

その確認作業が日本ではできないということなのですね。

 

「そんなもん、海外に依頼して待ってたらいいやん。」

そう思われますよね。

ごもっとも。

 

でも、国としては、エボラ出血熱患者が日本で見つかったら、いろいろと動かなければならないのですよ。

「疑い」の段階では強力な感染症封じ込め対策を発動できません。

だから、一刻も早く、「確定診断」をつけたいわけです。

その「確定診断検査」が日本でできないのは問題である、とそういう記事なのですね。

 

わかりにくいですよね。

私の解説もわかりにくいですね、すみません。

 

 

特効薬の日本国内での開発のためにも施設は必要ではある。

 

この記事を更にわかりにくくしているのがこの段落ですね。

 

*****

日本学術会議のメンバーとして今年3月、BSL4施設の必要性を提言した江崎孝行・岐阜大教授(病原微生物学)は「今は特効薬がなく、効果があるのか分からない薬を患者に投与している。ウイルスを培養できればいきなり人体に投与しなくても薬の効果を研究できる」と施設の重要性を指摘する。

*****

 

これ、エボラの感染検査には何の関係もない話です。

薬を開発するためには、BSL4施設があった方がいいですよ、という話。

それを混ぜ込むから、なんだかよくわからなくなるんです。

 

別の記事で触れるべき話題だと思うんですよ。

たとえば、

セリーグのファイナルの巨人ー阪神の試合の話をしている記事に、まだ出場チームが決まったない日本シリーズの勝敗予想を混ぜ込むようなもんです。

関連性がゼロではないけど、関係ないです。

 

ま、何もかも盛り込みたい気持ちはわかります。

私も記事の冒頭ではこの話題に触れていますからね。

 

 

まとめ エボラ熱感染の検査・診断と隔離・治療は日本でもできる。

 

日本でも、すでに45の公立病院などが「エボラ感染者対応病院」として全国で指定されています。

そういう病院が一つもない県もありますが、少なくとも県境を接した隣の県にはあるように設定されています。

そういうところで隔離して、簡易検査は武蔵村山で行う。

 

ということで、準備は整っていますから、不必要な心配はいりませんよ。

 

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・・・その45の病院の医療関係者の皆さんは今頃、ものすごい不安にさいなまれているかと思いますけどね(^^;)。

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