インフルエンザワクチン 接種してもかかることがある 受ける意味あるの?

インフルエンザワクチン、接種したのにインフルエンザにかかっちゃった。

病院で文句を言ったら、ワクチンを打ってもかかるときはかかるんですといわれた。

じゃあ、何のためにお金払って痛い注射を受けるのさ?

 

・・・それはですね。

 

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インフルエンザワクチンは発症を完全に防ぐワクチンではない

 

ワクチン接種というのは、ウイルスや細菌などの病原体を弱毒化したり無毒化して、それを注射することです。

それであなたの体がその病原体を覚えて、本物の生きたウイルスや細菌に感染した時に、あなたの体が速やかに反応できるようにしたものです。

 

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ワクチンにはいろんなタイプがあります。

大きく分けると生ワクチンと不活化ワクチンです。

これ、効果が全然違うんですよ。

 

生ワクチンというのは病原体を弱毒化したもので、生きたウイルスや細菌を使います。

病気を起こす力はほとんどない病原体ですが、あなたの免疫系は「生きている危険な病原体」として認識して、強力に反応します。

 

具体的には、「その病原体の形を記憶した強力なリンパ球(T細胞)」がリンパ節などに生き残り、本物に感染した時にはその感染細胞ごと破壊してしまいます。

ですから、数十年ほど、長期にわたってその効果が期待できるのです。

(T細胞が持つ免疫反応を細胞性免疫と言います。)

 

また、「その病原体に対する抗体を持つリンパ球(B細胞)」も速やかに反応できるので、抗体による反応で病原体を撃墜できます。

これにより、体内でウイルスがどんどんほかの細胞に感染して増殖するのを防いでくれます。

(B細胞が持つ免疫反応を液性免疫と言います。)

 

生ワクチンを接種した場合、このように

「細胞性免疫+液性免疫」

の作用で、ウイルスが体の中に入ってきても増殖を抑え込んでしまいますし、感染した細胞を破壊しますので、症状がほとんど出ません。

 

もう一つのワクチンが不活化ワクチンです。

不活化ワクチンは病原体を薬剤処理などで完全に不活化したり、あるいは遺伝子組み換えで病原体の一部だけを作って抗原にしたものです。

 

このワクチンには感染力がありませんし、あなたの免疫系は「体に入ってきた異物」としては認識しますが、「細胞に感染する危険な病原体」としては認識できません。

だから、反応するのは抗体を作るB細胞だけです。

不活化ワクチンを接種した場合、期待できるのは

「液性免疫」

の作用だけです。

 

体の中でウイルスが他の細胞に血流などを介して広がるのをある程度抑えてくれます。

高熱が出たり、関節痛で苦しんだりするのを抑えてくれる可能性はあるというわけです。

 

ですが、隣り合った細胞へどんどん広がるのを抑える力は強くありません。

このため、気道粘膜でのウイルスの広がりは防ぎきれず、咳などの症状は出やすいわけです。

しかも記憶細胞がリンパ節に残らないので、免疫が有効な期間も半年弱なのです。

 

日本で受けることのできるインフルエンザワクチンは、

 

1.不活化ワクチンなので完全に発症を防ぐことはできない、

2.免疫効果の長期的な記憶もないので必ず毎年投与する必要がある、

3.だけど症状が悪くなるのを抑える効果は理論的に期待できる

 

ものである、というわけです。

 

 

 

1971年以前は強力な生ワクチンが使われていたが使えなくなった

 

実は、インフルエンザワクチンに対しても生ワクチンは作れます。

実際に、海外では生ワクチンを接種している国がたくさんあります。

アメリカなどもそうですね、生ワクチンを飲むだけなので、痛い思いはしないで済みます。

 

でも、日本では禁止されています。

どうして日本では不活化ワクチンの注射しか選択できないのか?

生ワクチンの副反応が問題視されたからです。

 

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生ワクチンの場合、弱毒化していたとしても生きているウイルスです。

何らかの問題で免疫力が低下している人が投与されると、ウイルス感染症や、それに関連する髄膜炎などが発症することがあります。

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数万人に1人の割合で発生したとしても、大変重篤な症状が出ることになります。

 

実際に、生ワクチンを使っている国でも、2歳未満の乳幼児、50歳以上の年配の方、妊娠中の方には投与されません。

免疫系が未熟であるか、加齢により衰えているか、妊娠時のホルモンバランスにより免疫抑制されている可能性があるからです。

2歳以上、50歳未満の健康な人にだけ生ワクチンは投与されています。

 

日本では1960年代にさまざまな生ワクチンによる副反応が問題視され、

「効果が低くても、できる限り副反応の少ない不活化ワクチンに変更されるべきだ!」

ということになりました。

 

この結果、インフルエンザワクチンに関しては、不活化ワクチン以外は使えなくなりました。

( 不活化ワクチンでは効果が期待できない病気は今でも生ワクチンです。
具体的にはBCG、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水ぼうそうなどのワクチンです。))

 

効果が高いけど副反応も高い方をとるか、効果が低くても副反応が低い方をとるか。

日本では後者が選択されたのです。

 

それは日本人の好みの問題もありますし、ワクチンの副作用を大騒ぎするマスコミの視聴率稼ぎもあると思います。

数万人に一人発生するインフルエンザワクチンの副作用のギラン・バレー症候群を問題視して反対する人たちもいますから、仕方ないのかもしれませんね。

 

世界の中では特殊な国のようです。

(アメリカの医療関係者などからは麻疹などの感染症を輸出する困った先進国と呼ばれてます。)

 

 

 

不活化ワクチンの接種でもかかる率が大幅に減らせる

 

不活化ワクチンでも、インウルエンザワクチンを打つと、抗体ができるので重症化する危険性が減らせる。

理論的にはそうなのです。

でも実際にどの程度、「重症化を防げている」のかというと、ちょっと微妙です。

 

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有名なコクランレポートに、2010年に記載された疫学的な検討では以下の通りです。

 

1.ウイルス流行が予想通りの型であれば、不活化ワクチンが投与された場合、インフルエンザ発症率は投与されてない人の1/4になる。

2.ウイルスが予想した型と外れていても、不活化ワクチンが投与された場合、インフルエンザ発症率は投与されてない人の1/2になる。

3.発症した人の中に占める、病院に入院するほど重症化した人の割合は、ワクチンを受けた群と、受けてない群とで変わらない。

 

Cochrane Database Syst Rev. 2010 Jul 7;(7):CD001269. doi: 10.1002/14651858.CD001269.pub4.
Vaccines for preventing influenza in healthy adults.
Jefferson T1, Di Pietrantonj C, Rivetti A, Bawazeer GA, Al-Ansary LA, Ferroni E.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20614424

 

発症してしまったら、重症化に至る確率に差はないという結果だったわけです。

(関節痛などの症状がどの程度強いかを詳細に比較したような細かい統計はないようです)

 

その人がワクチンで身につけた液性免疫では発症を防ぎきれなかった場合に症状が出ると考えることができます。

そう考えれば、発症したらもはやワクチンの効果なんて期待できないのも当たり前ですよね。

 

けっきょく、日本で受けることのできるインフルエンザワクチンは、重症化を防ぐものではなくて、発症率を下げるもの、と考えた方がよいようです。

ちなみに、コクランレポートの中では、生ワクチンに関しては統計数が十分ではないが、不活化ワクチンよりは高い効果が期待できそうだ、となっていました。

 

 

 

結論 インフルエンザワクチンを接種するメリットはあります

 

インフルエンザのワクチンを打つと、発症する確率がワクチン打ってない人の2分の1から4分の1にまで下がります。

重症化する可能性の高い高齢者や妊婦は受けておいた方が安心です。

その周囲の人も、自分がどこかからもらってきて、家族の中にいる弱者にうつす確率が減らせることを考えたら、受けておく方が好ましいです。

 

受験生のいる家でも、受けておく方が安心ですよね。

センター試験の時に運悪くその子がインフルエンザで高熱出した。

その原因は親が職場からもらってきたインフルエンザの感染だと思われる、なんてことになったら、親も子もいたたまれないです。

 

もちろん、費用対効果などを考えてワクチン接種しないというのも個人の自由です。

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インフルエンザワクチン 接種してもかかることがある 受ける意味あるの?」への1件のフィードバック

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