インフルエンザ脳症 原因は予防接種や解熱剤?薬害って本当ですか?

インフルエンザ脳症は乳幼児で多く発症するインフルエンザの合併症で、致死率は10%近いと報告されています。

原因は「サイトカインストーム」という、免疫システムの暴走だと考えられています。

でも、その引き金を引いているのはインフルエンザの予防接種や、高熱を抑えるための解熱剤だという噂もあります。

本当なのでしょうか?

 

スポンサードリンク

 

 

インフルエンザ脳症 症状 子供 赤ちゃん 成人それぞれの違い

 

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症のうち、致死的な病態の一つです。

 

症状としては、最初は普通のインフルエンザと同じで

高熱、鼻水、咳、全身倦怠感などですが、

熱が出てから24時間から48時間以内に以下のような「神経症状」が出ます。

 

1.異常行動(言動)幻視、幻聴、恐怖行動、突発的行動

2.けいれん

3.意識障害でもうろうとなる

これらのどれか一つ、あるいは複数が出ますが、

最終的にはみんな、3番目の意識障害に陥ります。

 

a0001_006872

発症するのは主に子供や赤ちゃんです。

10歳以上になると急速に減ってきて、成人での脳症の発症は非常にまれになります。

成人の場合、異常行動があまり目立たずに、意識障害に陥ってから脳症だったんだとわかることがあります。

 

原因として、現在、考えられているのは「サイトカインストーム」という病態です。

body_rinpakyu

サイトカインというのは、リンパ球や好中球などの白血球が産生するホルモンのような物質です。

病原菌やウイルスの侵入を発見して、それを攻撃するために他の白血球や気道粘膜細胞などに攻撃や防御の指令を伝える物質です。

白血球や粘膜が総動員でウイルスに対抗するための効率的な指令システムなのですね。

 

サイトカインストーム、という状態では、このサイトカインがめちゃくちゃたくさん放出されて、免疫システムの白血球などが異常に活性化されます。

こうなると、ウイルス感染細胞や細菌だけを狙って攻撃するはずだった免疫システムが、

制御不能で自分の細胞や組織にも攻撃を仕掛けてしまいます。

それが脳で起こるのが、インフルエンザ脳症だというわけです。

 

でも、どうしてこんなことが起こってしまうのでしょうか?

 

 

 

インフルエンザ脳症 予防接種が原因で起こるという噂 薬害という人も

 

インフルエンザ脳症で発生している脳でのサイトカインストーム

これは予防接種が原因で引き起こされるのだと主張する人たちがいます。

・・・これ、本当なのでしょうか?

sick_vaccine

タミフルなどが開発される前にはインフルエンザウイルスに作用する薬はありませんでしたから、予防接種はとても重要な医療行為でした。

インフルエンザワクチンを注射するのは我々の免疫システムをインフルエンザウイルスに対して準備させておくことが目的です。

ウイルスが入ってきたらすぐに免疫システムが活性化して体内でのウイルスの拡散を抑え込めるように。

 

ここで、三段論法が起こっちゃったのですね。

 

「インフルエンザ脳症は免疫システムの異常な活性化が原因である。」

「インフルエンザ予防接種は、免疫システムがインフルエンザウイルスに感染した時にすぐに活性化するようにしこんでおく注射である。」

「だから、インフルエンザ脳症の原因の一つは予防接種に違いない。インフルエンザワクチンによる薬害だ!」

という流れです。

 

インフルエンザ脳症の存在は、昔から小児科の医療関係者には知られていました。

でも、その存在が一般的に認識されはじめたのは1990年代終わり頃からです。

インターネットが普及しだしてから、急速にみんながその存在に注目するようになりました。

 

「致死率が10%を超えるインフルエンザの合併症?インフルエンザ脳症だと、なんだそれ、昔はそんな病名、聞いたことなかったぞ!」

「昔なかったのに今はある病気、原因は現代の医療行為にあるに違いない!」

スポンサードリンク

そういう恐怖が、三段論法を主張する人たちを生んだものと考えられます。

 

 

インフルエンザワクチン 予防接種で脳症は防げるのか?

 

では逆に、ワクチン接種で脳症発症が防げるかどうか?

インフルエンザの予防接種と脳症の発症率の関連性について、全国的な調査が何度か行われています。

hatsunetsu_kodomo

数字を挙げて説明があったものを引用しますと

”脳症患者のワクチン歴の有無(不明を除く)に関しては、「ワクチン接種無し」83%、「2回接種」14%、「1回接種」3%であった。これは2001/02シーズンにおける脳症患者のワクチン接種率7%を上回るものである。また、これもまだ最終結果ではないが、2003/04シーズンの接種率は24%であった。”

平成14/15 年(2002/03年)インフルエンザ脳症全国調査について
(Vol.25 p 286-287)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/25/297/dj2973.html

 

わかりやすく書き直すと

インフルエンザ脳症患者のワクチン接種率は17% (83%の患者は未接種)

国民全体でのインフルエンザワクチン接種率は24% (76%の国民は未接種)

 

このことから、

「脳症になっている人ではワクチン未接種率が高い」

つまり

「ワクチンを接種した方が脳症になりにくいかもしれない」

ということは言えます。

ワクチン接種した方がインフルエンザを発症しにくいという統計はありますから当然ですけど)

 

残念ながらインフルエンザ脳症の発症率は非常に低いので、統計学的に有意ではありません。

だから、「かもしれない」はなかなか取れません。

(脳症の患者数が少ないのは残念ではなくて嬉しいことですけど^^;)

統計学的に確かである、といえる結果が出るには数十年分の調査が必要かもしれませんね。

 

でも、どう考えても、

「インフルエンザ予防接種がインフルエンザワクチンの原因、薬害である」

という結論は出てこないことは間違いないのです。

 

 

 

インフルエンザ脳症 解熱剤 ロキソニンなどによる薬害の可能性は?

 

インフルエンザワクチンの予防接種はインフルエンザ脳症を引き起こす要因ではない。

むしろ予防接種しておく方が安全。

 

でも、もう一つ、薬害として取りざたされている、解熱剤の問題がありますね。

アスピリン、イブプロフェン、ロキソニンなどの解熱剤を服用することがインフルエンザ脳症を発症させる引き金となるという話です。

こちらは、本当である可能性があります。

 

以前にも書きましたが、ライ症候群というものがあります。

⇒ インフルエンザ 解熱剤が引き起こすライ症候群

 

インフルエンザウイルス感染は細胞のミトコンドリアの機能を消費します。

サリチル酸系の解熱剤の分解のためにも、細胞のミトコンドリアの機能を消費します。

このため、インフルエンザウイルスが脳で暴れているときに、解熱剤を飲むと、細胞がへとへとになって機能できなくなってしまうのです。

 

インフルエンザ脳症では、サイトカインストームにより、脳神経系が攻撃されます。

それに加えて、脳神経のミトコンドリアの機能も消費されると、ぎりぎりで持ちこたえるはずだった神経細胞がやられてしまう。

だから、インフルエンザ脳症が発症しやすくなる、というわけです。

 

これを避けるために、小児の発熱の際には限られた解熱剤しか使いません。

アセトアミノフェン(カロナール、小児用バファリンやアンヒバなど)

これ以外の解熱剤は使わない方が安全です。

 

 

 

インフルエンザ脳症 予防にはどうしたらいい?

 

a0006_000918

インフルエンザ脳症は、めったに起こらない病気ですが、運悪く発症すると10人に1人は亡くなります。

生き残った場合にも15~20%では後遺症が残ると報告されています。

 

では、自分の子供をインフルエンザ脳症を発症から守るにはどうしてあげたらいいのか?

以下のことが重要です。

 

1.インフルエンザワクチンの予防接種を早めに済ませておく

2.流行の多い時期に人ごみに連れて行かない、帰ってきたら必ず手洗いさせる

3.インフルエンザかもしれない急な発熱があったら、24時間以内に病院を受診する(早めに診断して、抗インフルエンザ薬を使用する)

4.大人用の市販の解熱剤を持っていても、子どもには絶対に使わない、アイスノンなどで頸や頭を冷やすだけ

 

めったに起こらないから心配し過ぎる必要はありませんが、心の片隅に残しておきましょう。

スポンサードリンク
LINEで送る
[`buzzurl` not found]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です