茅の輪くぐりという言葉をご存じでしょうか?
神社で、6月と12月の最後の日に、穢れを払うご祈祷をしてくださる習慣です。
初詣ばかりが注目されていますが、茅の輪くぐりでの大払い、初詣の前に、こちらもお出かけになることをお勧めします。
茅の輪くぐりの由来 蘇民将来と病を払う力について
茅の輪というのはその名の通りに茅の草で編んだ輪のことです。
これが穢れを払い、身を守ってくれるという役割を持つという言い伝えがあるのですね。
これの由来は神話の時代にまでさかのぼります。
古事記の中には様々な神話が収められています。
有名な天岩戸の話は、弟である素盞鳴尊(スサノオノミコト)の乱暴狼藉に腹を立てた天照大神(アマテラスオオミカミ)が岩戸の中に引きこもり、世の中が真っ暗になってしまったという話です。
そのときにアメノウズメが岩戸の前で踊って、それを神様たちが囃し立て、何事だろうとそーっと岩戸を開けて外を覗いた天照大神を力持ちの神様が外に引きずり出して、再び世の中に光が帰ってきた、という話です。
もう岩戸にこもらないように、入口に通せんぼに張り巡らした縄が注連縄(しめなわ)です、神様を留め置くという意味合いがあります。
さて、乱暴者のスサノオノミコトは天界を放逐され、地上を旅してまわります。
そんな旅の途中で南海の神の娘をめとろうと、スサノオが南海地方を旅しているときに、蘇民将来(ソミンショウライ)、巨旦将来 (コタンショウライ)という兄弟のところでそれぞれ宿を求めました。
裕福な弟の巨旦将来が宿の提供を拒んだのに対し、貧乏な兄の蘇民将来は喜んでスサノオノミコトを泊めてあげました。
スサノオノミコトは、蘇民将来に、もしも流行り病に襲われたときには茅の輪を作り、腰につけておくように教えます。
それが穢れを落とし、病気から守ってくれると教えてくれたのです。
実際に、それからしばらくして南海の地が流行り病に襲われたときに巨旦将来は病で命を落としますが、蘇民将来は病から免れます。
それが、茅の輪の由来です。
昔は神話の通りに小さな茅の輪を腰に結び付けていたのですが、江戸時代から、神社の境内に設置した大きな茅の輪を参拝者がくぐり、その茅の輪を神社でお祓いするというものに変わりました。
そのお祓いが6月30日と12月31日の二回行われます。
茅の輪くぐり くぐり方と意味、やってはいけないこと
江戸時代に、茅の輪を神社に設置して、みんながそれをくぐるようにしたこと
これはとってもエコなんですよね。
だって一人一人が自分の腰に茅の輪をつけようとするとものすごくたくさんの茅の干し草が必要になります。
それを大きなもの一つにまとめることで、少しで済みます。
茅の輪くぐりを神社に設置するにあたって、いくつかの決まり事が出来上がりました。
神社の参道に設置された茅の輪
これを、お祓いを受けたい人は三回くぐります。
一礼して、くぐったら(左足からまたぐ)すぐに左に回って、戻ってきます。
また一礼して、今度はくぐったら(右足からまたぐ)右に回って、戻ってきます。
そして三度めの一例をして、左足からまたいで左に回って戻ってきます、それから一礼して、参拝に向かうのです。
Youtubeに動画もありましたので、共有URLをいただいてきました。
文章で書くよりわかりやすいですよね。
簡単です。
これ、私が行ったときには神主さんとかいらっしゃらなくて、参拝者が自由にくぐっていましたが、大みそかのお祓いの直前には神主さんが先頭を切ってくぐって先導してくださいます。
それに従うのも大変風情がありますよ、
大晦日の午後4時から午後5時ごろに行われることが多いので、近所の神社にご確認ください。
この時に一つだけ注意点があります。
この大きな茅の輪は、くぐる人々の穢れや災いを吸い取る役目を果たします。
したがって、これに触らないことが大事です。
通りすがりになでたり、ましてや葉っぱを祈念にちぎったりしないこと。
他人が落としていった穢れや災厄をあなたがわざわざ受け取るという意味合いになりますからね。
茅の輪くぐりと茅の輪飾りは同じもの?飾り方は?
茅の輪くぐりの儀式ですが、実はすべての神社で行われているわけではありません。
もともと、蘇民将来のお話を基に、江戸時代の神社がサービスの意味で始めた儀式だとも言えます。
全く行わない神社もあっておかしくありません。
また、茅の輪くぐりは行わなくても、茅の輪飾りとして配る神社もあります。
年末に店頭で売られていることもあるし、楽天でも売ってました。
これは本来であれば体につけておくものです。
スサノオノミコトが蘇民将来に言ったのが、
「茅の輪を作って身につけておけば、蘇民将来とその子孫は反映し、流行り病などの災いからもあまぬかれるであろう」
という言葉ですからね。
でも、お守りとして玄関に飾っておきましょう。
そして6月に、あるいは12月に夏越しの払いや大払いの時に神社に持って行ってお瀧揚げしていただくのがいいでしょう。
初詣にふだん住んでいる町の神社に行けないなら茅の輪くぐりと大払いにぜひ
茅の輪くぐりについて紹介しました。
わたしはこれ、ふだん、働いている職場の近くの神社や、ふだん住んでいる場所のそばの神社でくぐらせていただいています。
というのも、年末年始は両親の住む九州の実家に行っていることが多いので、初詣は実家のそばの神社で済ませていて、ふだん住んでいるところの神様にはご無沙汰ばかりしているからです。
ふだん、穢れ落としだけでなく、ご加護にあずかる神様へのお礼もかねて、私は年末に大払いの茅の輪くぐり、出かけています。
それにね、初詣と違って人が少なくて、静かで心もすっきりします。
よろしければ、あなたもいかがですか?